十日戎は、招福コラボ

笹につける吉兆は、神社でしか授与されないが、様々な縁起飾りを売る露天が神社周辺に軒を並べ、招福ムードアップのために、これもコラボしている。

松の内が終わるか終わらないうちに十日戎がやってきます。十日戎、別名えべっさんは、商業の町、大阪を中心に関西で盛んな神事。全国に数ある祭礼の中でも、民衆が神社と一体となって盛り上げる祭りは、大阪今宮の十日戎が最右翼ではないかという気がします。関西の人々にとっては、初詣の続きのような気分で、ごく一般的な歳時になっているようにも思われます。

商売繁盛の祭事だけに、招福にあやかりたい会社や商店の献灯もおびただしく、競って福笹をすすめる氏子さんや各種商業組合の講中の呼び込み、それに群がる参拝者の参加意欲旺盛な様子と熱気から、まさにこの神事が、単なる神社サイドの祭礼ではなく、大衆パワーが祭りを盛り立てることによって存在意義を持つ、民衆参加の運気招来イベントだという感があります。

そもそも、「えべっさん」といえば定番の福笹にしても、さまざまな意味で縁起よく神秘性のある笹をベースに、それに飾る縁起物の「吉兆・きっちょう」は、銭袋、末広、小判、丁銀、鯛、打出の子槌、烏帽子、米俵、臼、大福帳など、野の幸・海の幸・山の幸を象徴した目出たくも金運を呼びそうなものばかりの勢揃いで、これだけの縁起物がコラボで運気を高めてくれれば、さぞかし霊験あらたかだろうという気にさせてくれます。

景気が不透明で今ひとつ意気の上がらない関西ですが、日本国中がさまざまのコラボレーションで新しい価値創造を模索している中、三百年も前から、コラボによる景気付けの行事を演出してきた町人魂を思い起こし、関西の人々が、この「十日戎気風」を忘れないようにして欲しいものです。